なれそめの話。

 

 

私とだいちゃんは高校の同級生でした。

 

 

転入生だっただいちゃんの第一印象は

「笑うと顔がふにゃっと崩れる子。」

だいちゃんの私の第一印象は

「地味だけどわりと好みの大人しい子。」

 

 

私もだいちゃんも第一印象はとても好意的で、

最初は話すのもお互いにちょっと照れてました。

 

だいちゃんは(ありがたいことに)私のことを好きになり、告白を試みますが、「かなさん彼氏いるよ。」と断念。

そこから約3年間、だいちゃんは長い片思い期間に入ります。

 

そして、高校生も終わりを迎えようとしていた秋の終わり。

授業中、だいちゃんからLINEが来ました。

 

「佐藤さん(私の仮名)、パンツ見えてるよ。」

 

だいちゃんと私の席は前後で、私のスカートがめくれているのを指摘するLINEでした。

 

そのLINEをもらった日から、私と彼は、学校が終わったあと、二人で会うようになります。

場所は、だいちゃんの思い出の場所だったり、うちの近所の駐車場に停めて車の中だったりでした。

他愛もない話を重ねて、手を繋いで、すごく幸せでした。

 

それでも、恋人に踏み出せなかったのは

だいちゃんがすぐ人に飽きてしまうから。

飽きてしまうというよりかは、恋人として見られなくなる時が来ることが早い、というんだと思います。

 

ただただ、ずるずる。

恋人みたいな曖昧な関係を続けて、年が明けて。

 

「俺と付き合えないなら、もうこの関係はやめよう。」

 

だいちゃんから、そんなことを言われました。

決めきれない私に嫌気が差したんだと思います。

悩みました、悩んで悩んで。

 

「よし、私と今すぐ結婚しよう。」

 

「は?」

 

「朝が来たら、婚姻届をもらって、私と夫婦になろう。」

 

今思えば何言ってんだこいつって話です。

でも、何故か、その時は「これ以外で引き止められない」と強く思ったのです。

 

だいちゃんは泣き出して、「本気で言ってるの?馬鹿じゃないの?」と壊れたように繰り返してました。

ただ、私はそれでもいいって本気で思ってました。

 

結局、そのプロポーズのような脅迫で結婚することは無く、お付き合いから始めようということにまとまりました。

 

振り返るとなんともまぁ、面白みも何もない話だと思います。

それでも、この面白みも何もない話があって、今の私と彼はいるのでそれでもいいのかなと。